この未来を壊して下さい。【完】
美穂 side
「言って、楽になればいい」
そのつぶやきは彼女には届かない。
消えてしまいそうな瞳で花火を見ていた彼女。
花火大会が終わって真っ暗な空を見つめながら一瞬顔を歪めた彼女。
壊れてしまいそうで、消えてしまいそうで。
泣き方すら知らない彼女が、笑い方も忘れてしまいそうで、
助けてって心のどこかでは思ってるはずなのに
絶対に弱みを見せなくて、
でも、私には何もできない。
そう、彼女の背中を見ながら思った。