この未来を壊して下さい。【完】
彩 side
「よかったわね、姫羅ちゃんに見つけてもらえて。」
そう言いながら私は彼のけがの手当てをする。
「俺、結局自分では何もできなかった。」
「そんなの、出来る人の方が少ないでしょ。
いいじゃない。頼れば。」
「先生はアイツのこと知ってるんですか?」
「そうね、彼女を尊敬してるわ」
「尊敬?」
「強いよ。彼女は。その辺にいる誰よりも強い。」
弱音なんて何年も一緒にいたけど一回も聞いたことが無い。
涙さえも流さない。
それどころか、感情を見せたことは一度もない。