この未来を壊して下さい。【完】
さようなら、私。
抗争が行われているであろう一階に下りる。
腕には珍しく腕時計をつけた。
きちんと私が私でなくなる時間を守るため。
いや、昔の私に戻る時間を間違えないため。
一階に着く。もう翼龍が勝つのは当たり前といったような状況なのに、実際は向こうの方が有利だとでもいうような空気が流れている。
そっと龍河に近づく私。
翼龍は龍河を先頭に、幹部、下っ端君、下っ端君の下っ端君という順番で並んでいるらしい。
(さっき美穂に聞いた。)
幹部が並んでいる列まで行くとフードをとる。
昔、まだ美穂が跡取りだったころに彼女がくれたお守りは今日も胸ポケットの中。
確か安全祈願だった気がする。
このお守りとも今日でお別れ。
完全に切らなければ。彼女との、彼らとの縁を。