この未来を壊して下さい。【完】
「そっか。もう無いのね」
と笑顔で言ってみると不機嫌になる彼女たち。
私がわざわざ教科書を探しに行くワケないでしょ。
「はーい。授業始めますよ。」
タイミング良く教室に入ってきた先生。
それを見て自分の席に戻る彼女たち。
どうやら朝のSHRは終わっていたらしい。
「先生。西條さんが教科書を忘れたみたいです!」
そんなにニコニコしなくてもいいのに、と思うほど告げ口をした彼女は笑顔で、きっと、この先生が忘れ物嫌いなのを知っていて、故意に発言したのだろう。
「あら、私の授業で忘れ物。いい度胸ね。」
そう言いながら私の席へ向かってくる先生。
ハッキリ言って、めんどくさい。
「確かに“教科書”は忘れましたが、“教科書のデータ”ならありますよ。」
そう言って持っていたタブレットを見せる。