仮定




「…そなた…名をリオンと言ったか」



リオ?



「あ…はい、そうですけど…」




私が答えると、



「やはり…そうか…」



などと口に指を当てブツブツ呟く男性。



なんか…


変わったしゃべり方だな。




「おい莉緒」



「何?」



「今こいつ、莉緒じゃなくてリオンって言うたよな?」



「え?」



そうだったかな…?



「私には莉緒って聞こえたけど」



「そーか?いや絶対リオン言うたで」



「発音のせいじゃない?ほら、外人さんっぽいし…」



「外人!?発音悪い外人がこんな流暢に話すか?」



う…



「…そう言われてみれば」



「やろ?こいつただのコスプレやって。危ないかもしれへんから早よ行くで」



「えぇ…?そんな風には思えないけど」



「…リオン」




ヒソヒソと会話をしていると、突然男性の低い声が響き、体がビクッと反応した。




「は、はい!」



「わしはそなたをずっと…探していた」




言いながら私の右頬に大きな手を添える。




「…えっ?」



「やっと見つけた」




さ…探していた?


見つけた…?



え?え?



な…何で…!?



そして何この状況!?



何この手は!?



なんでこんな、愛しむような切ないような瞳で見つめられてるの!?




頭の中ではグルグルと疑問がいっぱい浮かぶのに、いざ動かそうとしても体も口も言うことをきかない。



バックンバックンうるさい自分の心臓の音を聞きながら、ただ、男性の綺麗な赤い瞳に惹き込まれるように見つめることしかできなかった。







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