仮定
「ちょ…お、おい、ちょ…!?お、お、お前何してんねん!?離せその手ッ!」
「リオン、そなたを誘おう」
「人の話を聞け!!」
晴真がわーわー騒いでいるにも関わらず、男性は構わず続ける。
「いざ……なう、って…」
やっとのことで口を開けた。
「きっとすぐに思い出す」
私の問い掛けに対し、ふわりと微笑む男性。
思い出す…?
何を?
どういうこと?
「──!? お…おい!莉緒…!莉緒ーーー!!」
ゆっくりと薄れゆく意識の中、晴真が私に向け必死に手を伸ばしているのを見た気がする。
私はというと、抗えない眠気に襲われながらも、真っ暗な闇の中を落ちていった。
……気がする。
───次に目を覚ましたのは、光が射し込む緑豊かな森の、神殿らしき台座の上でのことだった。