仮定
人々は皆輝く瞳で私を見ている。
……これって………
もしかして、私が喋るのを待ってるの……?
「……ぇ……と…」
「リオン様のお声だ!!」
「懐かしきリオン様のお声!!」
「我々の耳に癒しをもたらしてくれるリオン様のお声!!」
「また聴くことができるなんて…!」
私が一言発しただけでこの騒ぎ様。
………本当に、なんなのこれ……?
私、"ぇ"と"と"しか発してないんだけど……
声という声も出てないし……
私は何も状況を理解できないまま、ただただポカンと周囲を見回していた。
───と、そのとき。
「皆さん、リオン様はきっと疲れておられます!嬉しいのはとてもよくわかりますが、歓迎の言葉も騒ぎ立てるのも後にして、まずはリオン様に休んで頂くことを優先するべきです」
まるで神々しい光でも纏っているかのような、美しい少年が現れた。
…わ……綺麗……
「あ……そうですな…!まずはリオン様の御体が最優先だ!!申し訳ございませんリオン様!!」
「申し訳ございません!!」
「申し訳ございません!!」
「え…あ……い、いえ…」
人々が道を空け、その間を通って私の元へと歩いてくる少年。
歩く度にサラサラの金の髪が揺れる。
外人さんなのかな…
何もわからず混乱しているはずなのに、私はふとそんなことを考えていた。