好きになった人、愛した人。
これが、帰宅してからのあたしの日常。


「今日はオムライス?」


キッチンで手を洗いながら、その香りに頬が緩む。


死んだお母さんも、オムライスはよく作っていた。


そして、偶然にも叔母さんのオムライスはお母さんの作るそれとよく似ていて、隠し味のスパイスが同じだということがわかった。


「そうよ。コンソメスープ作ってくれる?」


叔母さんは白いエプロンにシミがいくつできても、あたらしいものに変えようとはせず、ずっと同じものを使っている。

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