好きになった人、愛した人。
あたしは立ち上がり、肖像画の前に立った。


ここだけ異空間のような、現実から隔てられているような感覚。


「ま、あながち間違いじゃねぇよ。ここにいたら、外で起こってることなんてなんもカンケーねぇもん」


「外、出たいと思う?」


「そりゃぁ思うよ」


「少しも、出れてないの?」


「最近は全然」


「出ちゃダメって、言われてるの?」
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