好きになった人、愛した人。
吸い寄せられるように、その手を握る。


すると、そのままベッドの上へと抱き寄せられてしまった。


すっぽりと奈生の腕の中に包まれて、見た目よりもずっといい体格をしているのだとわかった。


「泣きたきゃ、泣けば?」


「なんで、あんたの胸なんかで……」


「嫌なんだよ俺。誰かが、俺の前で必死で我慢してんの見んの」


あたしを抱きしめる腕に、力がこもる。
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