好きになった人、愛した人。
☆☆☆

それから10分ほど経ったころ。


あたしたちは早くからオープンしている近くの喫茶店に入っていた。


今の時間、店内はガラガラであたしたち以外に客の姿はなかった。


「で、なんの用事?」


2つ頼んだコーヒーが運ばれてきてから、あたしは口を開いた。


矢原は相変わらず険しい表情を崩さない。


その顔を見ていると、胸がざわついた。


「昨日見たんだ。病室で……」
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