好きになった人、愛した人。
「矢原のそういう考え方、奈生を追い詰めてるときだってあると思うよ?」


思わず、言ってしまった。


でも、もう取り返しはつかない。


「なんだと?」


今までに聞いたことのない、矢原の低い声。


完全に怒らせてしまったことくらい、あたしだってわかっている。


でも、ここで引くわけにはいかない。


「あたしは、遊びで奈生の家庭教師をしてるわけじゃない。

奈生への気持ちだって、本物よ」


「じゃぁなお更許せないな。それじゃ奈生もチハヤも傷つくだけだ」
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