好きになった人、愛した人。
それだけ言うと、あたしは喫茶店を出た。


「おい、チハヤ!!」


後ろから矢原の声が聞こえて、それを振り切るように走り出した。


あたしは最低だ。


矢原があの足じゃ走れないと知っていながら、こんな事をしているのだから。


でも、奈生のことは、こんな卑怯なことをしてでも譲れなかったんだ……。

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