好きになった人、愛した人。
講義に出席して何度目かのため息。


「どうしたの、チハヤ?」


さすがに気になったのか、ヒナタが声をかけてきた。


あたしは卵白を泡立てつつ、「自信、なくなってきた」と、呟く。


「そう? 相変わらず奇抜でいいと思うけど?」


先ほどあたしが作ったドライフルーツ入りのクッキーを1口食べて、ヒナタは言う。


「クッキーなのに甘くなくてスパイシー。その後からドライフルーツの甘味と触感が加わって、ちょっと癖になりそうな美味しさよ?」


「そうじゃなくてさ……」


< 114 / 395 >

この作品をシェア

pagetop