好きになった人、愛した人。
「なに?」


モグモグと口の端にクッキーの食べかすを付けたままのヒナタを見て、言おうとして開いた口を、再び閉じた。


「まぁ、いいや」


「なによ。悩みでもあるんでしょ?」


「うん。でも、ヒナタ見てたらいいやって感じちゃったし」


「なにそれ、褒めてるの?」


「決して褒めてはないよ」


そう言うとヒナタは少し頬を膨らませ、そしたまたクッキーを口に運んだのだった。
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