好きになった人、愛した人。
「もう、キスとかしないで」


そして、出てきたのは気持ちとは裏腹な言葉だった。


問題を解いていた手が止まる。


「なんだって?」


驚いているような、怒っているような声。


奈生の顔はまともに直視することはできなかった。


「昨日のアレさ、矢原に見られていたみたいなんだよね。

やっぱり、好きでもないのにそういうことするの、おかしいし。

家族にも心配かけちゃうから、ね?」
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