好きになった人、愛した人。
家に帰ってから、あたしはすぐにリビングとキッチンを除いたけれど、叔母さんの姿はなかった。


靴はあったから外出ではないから、きっと寝室でDVDを見ているんだ。


叔母さんは数年前から海外ドラマを借りて見るのが趣味になっているのだが、リビングは占領しちゃ悪いから寝室の小さ目なテレビで見ている。


「ただいま」


邪魔にならないように小声で寝室へ声をかけて、今日も用意されている夕食を温める。


本当はあまり食欲もなかったけれど、少しでも食べておかなければ心配をかけてしまう。


ご飯をよそって電子レンジの前でレンジアップを待っていると、後ろでキッチンのドアが開く音がした。
< 126 / 395 >

この作品をシェア

pagetop