好きになった人、愛した人。
叔母さんが駆け寄り、頭部に傷ができていないか確認してくれる。


その間、叔父さんが太一からあたしの財布を奪い、そして散らかったものをバッグに戻してくれていた。


久しぶりに4人が顔を合わせたのに、誰も、何もいわなかった。


叔父さんも叔母さんも太一とは視線をあわさず、その沈黙に耐えかねた太一はクッと表情を歪ませて二階へと戻って行った。


「大丈夫? ごめんね、チハヤ」


「結衣叔母さんが謝ることじゃないですから」
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