好きになった人、愛した人。
映画館へ行くのは、たいてい太一が見たいとねだる映画があるからだった。


同い年のあたしたちは勉強もよく2人でした。


得意科目が違ったため、互いに教えあったりもしていた。


しかし、やはり勉強は太一よりもあたしの方が得意だったようで、教えることの方が多かった。


そしてある日、叔母さんはあたしと太一に中学生受験をしないかと、話を持ちかけてきたのだ。


幼稚園から大学までエスカレーター式の学校があり、そこへ入るための編入試験が行われるのだ。


最初、叔母さんはあたしたちの力試しに、ということで話を進めていたのだけれど、試験が近づくにつれてどんどん緊迫した空気に包まれていった。
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