好きになった人、愛した人。
口では相変わらず『力試しだから』と言っていたけれど、あわよくば入学できないだろうかと、期待していたのだ。


その頃は叔父さんの発明品がヒットを連発していて、金銭的な面で余裕もあった。


そのため、叔母さんの力があたしたち2人へ注がれるようになったのだ。


あたしたちは毎日毎日勉強をした。


見えないプレッシャー。


高ぶる緊張感。


ごく普通の、受験なんて考えてもいなかった2人にとっては、大きな試練だった。


そして、試験当日。


緊張する2人を乗せて、叔母さんの車は試験会場である中学校へと向かった。
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