好きになった人、愛した人。
後部座席に座るあたしたちは手を握り合い、『大丈夫、大丈夫』と、何度も繰り返しつぶやいていた。


到着した頃には汗で互いの手がふやけていたほどだ。


試験は思ったよりも簡単だった。


毎日勉強していた場所が出題されていたし、冷静になればすらすらと解けて、なんだ、こんなものかと、正直拍子抜けしたほどだ。


これなら大丈夫。


叔母さんの期待にもきっと応えられる。


あたしは、本気そう思っていた……。

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