好きになった人、愛した人。
太一が、ソファの上で堅く身をこわばらせる。


だから、そんなに緊張しなくてもいいのに。


太一はいつも緊張する体質で、叔母さんの気がかりなことの1つだった。


叔母さんの足音がキッチンから玄関へと向かう。


手紙がポストに入れられるよりも早く玄関をあけて、郵便配達のお兄さんに挨拶をしながら受け取る声が聞こえてきた。


『チハヤッ!』


瞬間、太一があたしの名前を呼んだ。


『俺、お腹いたい』


『え?』

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