好きになった人、愛した人。
「アルバイト……?」


「うん。家庭教師」


叔母さんはスプーンを持つ手を止めて、不安そうな表情を浮かべた。


「どうしたの、急に」


「あー……ちょっと、社会に触れてみようと思って?」


きっと、叔母さんのことだから『携帯代を払う』と言えば、『そのくらいのお金気にしなくていい』と、言われるだろう。


ちゃんとした恩返しは大学を出てからでもできると思う。


けれど、叔母さんと2人きりの時間はあたしにとって少し息苦しいものでもあった。
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