好きになった人、愛した人。
出てくるのはトイレに行くときだけ。


あたしと叔母さんは交代でおにぎりを作り、太一の部屋の前に置いておくようになった。


そして、あたしが中学に上がった時。


太一があたしの部屋をノックした。


受験をして以来初めてのことだったので、戸惑いながらもあたしは部屋を開けた。


しかし……その時立っていた太一は濁った眼をしていて、ひたすらあたしを睨み付けていた。


すべてはお前のせいだ。


その目に、そう言われているような気がして、動けなかった。
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