好きになった人、愛した人。
「実は……ね……」


あたしは、奈生に太一の事を話していた。


大まかな部分だけだけど、なんとなくは理解してくれたらしい。


《で、今ノック音は?》


「しない……」


《電話、切るなよ? 行ってやることはできねぇけど、お前が安心するまで電話しててやるから》


その言葉に、心臓が高鳴る。


なんだろう、この安心感は。


今まで感じたことのない、守られている感覚。
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