好きになった人、愛した人。
自室にこもってこっそり作品を書いていたことも、知っている。


子供たちに希望と夢があふれる物語を読ませてあげたいのだと、照れ笑いしながら話してくれたこともある。


しかし、受験を控えたある日、『太一、部屋で勉強してないよ』あたしは、叔母さんにそう告げ口したんだ。


自分より勉強ができない太一を心配しての言葉だった。


その、つもりだった。


だけどそれは結果的に太一の夢を奪うことになってしまった。
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