好きになった人、愛した人。
『受験に受からなければ、もう物語を書くのは禁止です』


叔母さんから、そんな事を言われてしまうなんて思っていなかったから。


たぶん、太一の受験のプレッシャーはそれもかねていたんだと思う。


小学5年生の頃からつたない文章で文字をつむいでいた太一。


それを取り上げられるというのが、どれほど辛いものか、その頃まだ夢を持っていなかったあたしには、理解できなかったけれど。


夢も、受験もダメになった今の太一。


何をされても、文句を言える対場じゃないとわかっている。
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