好きになった人、愛した人。
涙なのか、さっきの水道の水なのかわからないものが、頬をいくつも伝っておちた。


「もう、疲れたよ」


自然と、そんな言葉を言っていた。


「お父さん、お母さん、もう疲れたよ!」


太一に殴られることも。


叔父さん叔母さんにどこか遠慮しながら暮らすのも。


嘘が上手になってしまったことも。


すべて投げ捨てたい感情に襲われる。

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