好きになった人、愛した人。
《あぁ。待ってる》


それだけ言って、電話は切れた。


あたしは涙をぬぐって立ち上がり、ふと自分の頭が濡れていることを思い出した。


どうしよう?


雨も降ってないのに濡れているなんて、絶対に怪しまれる。


仕方なく、あたしは病院の前にコンビニに寄ってなけなしのお金でタオルを買ったのだった。

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