好きになった人、愛した人。
「それは、違うよ」


あたしはそんな奈生の手を握って言った。


「そもそも、あたしは矢原と付き合ってない。誰のものでもない。だから、取ったとは言わないよ?」


「そ……っか」


奈生の頬が、さっきよりも更に赤く染まる。


「なぁ。今家庭教師と先生って関係じゃねぇよな?」


「今? 今は……そうだね勉強道具持ってきてないし」


「じゃぁ、キスしていい?」
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