好きになった人、愛した人。
「もしかして、病院? じゃぁ、この部屋番号って病室のこと?」


呟き、眉間にシワを寄せる。


病院内で家庭教師をしろってこと?


あたしはそのメモをクシュッと握りつぶした。


だから、矢原はあたしにバイトの詳細を教えなかったんだ。


この生徒には、きっとなにか事情があるんだ。


あたしは1度大きく肩で呼吸をする。


行くか、行かないか。


今ならまだ戻れる。


断ることができる。
< 18 / 395 >

この作品をシェア

pagetop