好きになった人、愛した人。
そう思いながら部屋を出る看護師を見送る。


「妬いた?」


小悪魔のように笑いながら聞いてくる奈生に、あたしは「別に」と、首をふった。


「本当に?」


「本当よ。看護師さんの言葉が本気だとは思えないし」


そう言うと、奈生は目をパチクリさせて、そして声を上げて笑い始めた。


「な、なによ?」


「いや、確かにチハヤの言うとおりだからさ」
< 183 / 395 >

この作品をシェア

pagetop