好きになった人、愛した人。
でも、あたしは振り返らなかった。


互いの傷を舐めあったって、結局当人同士が結ばれない運命ならば、意味がないじゃないか。


あたしと奈生では生きる世界が違いすぎる。


互いに背負っているものが、大きすぎる。


「さようなら……」


小さく呟き、あたしは病室を出た……。

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