好きになった人、愛した人。
太一は相変わらず濁った目で、何を考えているのか感じ取ることはできなかった。


でも、太一にこれからの話はまだ早い。


あたしは、そう思っていた。


「就職、しないのか? それなら、もう1度ちゃんと勉強をするか?」


叔父さんが太一へ問いかける。


しかし、太一は答えない。


「あ、あの。哲司叔父さん、太一はまだこのままでいいと思う」


「チハヤ、太一を甘やかさないでくれ」


「ち、ちがっ!」
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