好きになった人、愛した人。
ただ、わだかまりが取れていないこの状況で無理やり前へ進んだって、意味がないと思った。


太一はまた足を絡ませ、転んでしまうかもしれない。


だったら、すべてを明らかにして家族の溝を埋めるほうが先じゃないか。


そう思ったんだ。


「俺は……」


太一が口を開き、あたしたち3人はハッと視線を移した。


「俺は、童話作家になる」


太一の口から告げられた気持ち。


まだ、夢をあきらめてなかったんだ……。

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