好きになった人、愛した人。
きっと、照れているのだ。


そして、夢を追うことを許してくれたことに喜んでいる。


それを見て、あたしはホッとすると同時に胸のどこかが微かに痛んだ。


これが、本物の家族だと見せ付けられた気がして……。


「チハヤも、これからは遠慮しなくて言いなさいよ?」


叔母さんの言葉に「あ、はい」と、思わず背筋が伸びる。


なんだか、全部を見透かされているような感じがした。


「小さな嘘も、もうつかなくていいからね」

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