好きになった人、愛した人。
「た、楽しくなんて……!」


「好きな子でも、できた?」


図星をつかれて、顔が真っ赤にそまる。


家族に想いがバレてしまうということは、こんなにも恥ずかしいことなのだと、初めて知った。


あたしは急いでご飯を食べて、席を立った。


「慌て方が余計に怪しい」


太一に言われ、ドキッとする。


さっさと洗い物を片付けながら「大学、行ってきます!」と、怒鳴るように言って部屋を出たのだった。
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