好きになった人、愛した人。
「当たり前よ、何年一緒に暮らしてると思ってるの? 様子がおかしいことくらい、わかるわよ」


そう言う叔母さんの口調は優しくて、少しホッとした。


「あたし、今行かなきゃいけないって思うの」


「どこへ?」


「……病院……」


「好きな人が、そこにいるのね?」


さすがいろいろと経験してきた人だ。


若いあたしの考えを簡単に見抜いてしまう。

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