好きになった人、愛した人。
ずっと一緒に暮らしている人たちだからね、ちゃんと言葉にすれば伝わるんだよ。


ねぇ奈生、あたしは今日それをあなたに伝えたい……。


白い息を吐き出して緊急外来専用の扉を開けた。


お見舞い時間は終わっているから、ここからしか出入りできないのだ。


当然、病院の中は静かで人の気配はない。


昼間にぎやかな待合室は電気が消えていて冷たい風が流れていた。


いつも乗っているエレベーターで5階を目指す。
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