好きになった人、愛した人。
奈生に近づくにつれて、心臓がドクドクと音をたてはじめる。


奈生に会うのに緊張してるなんておかしくて、そんな自分がちょっと笑えた。


エレベーターはあたしのそんな心境なんておかまいなしで、5階まで到着した。


廊下は照明を落とされ、ナースステーションだけ明かりが残っていた。


そこで作業をしている2人のナースに軽く会釈して、502号室へ急ぐ。


そして、ドアの前まできてはたと気持ちが揺らいだ。


そうだった、勢いだけでここまで来てしまったけれど今は真夜中。


普通に考えれば、奈生は寝ているじゃないか。

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