好きになった人、愛した人。
「まじで……」


手慣れた雰囲気の奈生だから、てっきり経験済みかと思っていた。


「そうなんだ……」


「さすがに俺だって、最初は好きな女抱きてぇよ」


背中へ回された腕にグッと力が入り、奈生の言いたいことが伝わってきた。


「あたしだって、初めてなんだから」


「それ、すげぇ嬉しいけど?」


奈生の吐息が耳にかかってくすぐったい。


でも、それは心地よくもあった。
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