好きになった人、愛した人。
「あ、はい」


思わず見とれてしまうほどの美少年に、返事をするのも忘れてしまいそうになる。


「名前、なんだっけ?」


「菊田……。菊田チハヤ」


「チハヤ」


少し生意気な笑みを浮かべ、あたしの名前を呼ぶ。


「あなたは……」


なんて名前なの?


そう聞こうとして、ベッドのネームプレートが目に入って口を閉じた。
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