好きになった人、愛した人。
「……ごめんチハヤ、あたしそういう経験なくて……うまく励ましたりできない」


残っているお弁当にふたをして、ヒナタが言った。


「ううん。こっちこそ暗い話しちゃってごめん。食欲なくなっちゃったよね」


明るい声でそう言い、勢いよく立ち上がる。


「午後の講義めんどうだなぁ」


う~んと、空へ向けて伸びをする。


悩んでいたって、仕方がないから。
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