好きになった人、愛した人。
《矢原奈生》


その漢字の上にヤハラ ナオと、ルビがふってある。


「矢原!?」


驚いて目を見開く。


「なんだよ、大声出すなよ」


「ご、ごめん。あなた、矢原っていうの?」


「あぁ。なに? 名前も知らずに来たのかよ」


「だって、矢原のやつ生徒の情報ほとんど教えてくれなくて」


そう言うと、奈生は少し眉間にシワをよせ、「兄貴らしいな」と、呟くようにいった。

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