好きになった人、愛した人。
「え、これって……」


「太一が童話賞の最優秀を賞取ったのよ!!」


興奮しながらそう言うとあたしの手から雑誌を奪い、


「今日は頑張ってご飯作るから、チハヤも早く手伝いなさいよ」


と、スキップしながらキッチンへと向かう。


そんな叔母さんの後ろ姿を見送ってから、あたしは急いでリビングへと向かった。


そこにはすでに何本な缶ビールを開けている叔父さんと、テレくさそうに笑う太一が座っていた。


「太一! 優秀賞とったって!?」


「あぁ。そうなんだ」


「いつの間に?」

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