好きになった人、愛した人。
そう聞くと、太一はずっと自分の部屋で作品を書いてネットから投稿をしていたのだと言った。


ときどき通販で届いていたものは、作品に必要な資料なのだと。


「そうだったんだ……」


あたしは脱力したようにソファに座り込んだ。


引きこもりの太一が、まさか自分より早く夢を叶えるなんて思ってもいなかった。
それに、ずっと書いていたなんて。


あたしが、自分のせいで太一が夢をあきらめたのだと落ち込んでいたときも、太一は童話を書き続けていたなんて。


「な……んだぁ……」

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