好きになった人、愛した人。
嬉しくて、気が付けば涙がこぼれだしていた。


「何、泣いてんだよっ」


太一が慌てて立ち上がり、あたりにティッシュを投げてよこした。


「だって……太一が……夢、叶えて……っ」


しゃくりあげながら言うと、「なんだよ、俺が夢叶えちゃ悪いかよ」と、太一がクシュっとあたしの髪をなでた。


「悪くないっ!!」


そう言い、あたしは勢いにまかせて太一に抱き着いた。


「うわっ! やめろよお前」

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