好きになった人、愛した人。
徐々に徐々に、ゆっくりでいいと思った。


それは叔父さんと叔母さんも一緒だったようで、何も言わずに料理を口に運んでいた。


「チハヤは? 夢は、叶えられそう?」


不意に太一にそう聞かれ、あたしは「あっ」と、声をあげた。


そういえば、コンテストのことをまだ話していない。


「そのことなんだけど、実はね……」


あたしは、昼間の出来事をみんなに話してきかせた。


「そのコンテストって、すごく有名なものでしょう? テレビで見たことあるわ」
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