好きになった人、愛した人。
「ありがとう。でもね、そのコンテストなんだけど……奈生の手術日と一緒なんだよね」


《……そっか》


「でね、そのコンテストに向けて練習したいから、コンテストが終わるまでは会いにいけない」


《あぁ。わかった》


奈生なら、きっと素直に頷くと思っていた。


けれど、それを言われた瞬間、なぜだか胸が痛んだ。


また、奈生は自分の伝えたい気持ちを我慢してるんじゃないかと、不安になった。


「奈生……あたし頑張るから」


《あぁ》


「だから奈生も……っ」


《バカ、何泣いてんだよ》
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