好きになった人、愛した人。
矢原に彼女。


大学で囲まれていたことを考えれば、不思議じゃない。


むしろ、今まで浮いた話をきかなかったことのほうが、おかしかったんだ。


「そろそろ俺も前に進みたくてさ。チハヤよりもずっといい女捜したんだ」


「そっか……」


あたしは素直に嬉しくて、微笑んだ。


みんな前へ進んでいる。


一歩一歩、おぼつかない足取りでも、確実に進んでいる。

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